2013年7月5日金曜日

食材は頭からおしりまで丸ごと食べる

次に、世界中の人たちの食生活の共通点としてあるのは、土法ということです。要するに、土法というのは、昔からその土地に伝わる調理法ということです。土法には土地ごとにさまざまありますが、その意味は共通しています。
イヌイットの例で「なるほどな」と思うのは、肉を食べるとき、全部生で食べることです。焼き肉が大好きな人でも、ご飯も野菜もイモパンンもなしで、焼き肉だけをはたして何日間食べ続けられるかと考えたら、一週間だって無理です。
では、イヌイットはなぜ毎日食べ続けられるかというと、生で食べているからなんです。飲み屋のメニューに馬刺しや牛刺しがありますが、あれには脂が全くありません。
生の肉は、味もそっけもないんです。肉というのは焼くと脂が出てくるわけです。そうすると、3三回と続けては食べられなくなるんです。ところが、生だと続けて食べられるわけです。これは知恵というより、木や草が生えていないから、燃料がなかったということでしょうね。だから、焼くわけにもいかず、生で食べてきたということでしょう。
また、イヌイットのアザラシやオットセイの食べ方をさらに詳しく調べると、おなかをナイフで割いて、最初に肝臓、腸、腎臓といった内臓をまず食べて、その他の肉は放っておくわけです。すると、零下何十度の世界ですから、肉が凍るんですね。それを後で削って食べるわけです。このように、内臓を含めてアザラシなどの肉を丸ごと食べるわけです。このことからもわかるように、肉を食べたら野菜も食べるというのが、バランスのとれた食事というわけではないのです。肉を食べるなら、頭から尾っぽまで食べることが、バランスのとれた食事なんだと思います。
さもなければ、砂漠や氷の世界などさまざまな土地で生活している人たちが、さまざまな形の食生活をしているわけですから、世界の九割の人は偏食で体調がおかしくなつているはずです。肉とのつき合いの長い人が多く住んでいる土地、たとえば沖縄や横浜の中華街に行くと、豚の頭や足などが吊るしてあります。
つまり、こうした土地では、豚の頭や足を食べるんですね。さらに耳や内臓も食べます。やはり肉とのつき合いの長い地方の肉の食べ方は、イヌイットの肉の食べ方と共通しているところがあります。要するに、内臓も含めて「丸ごと食べる」という点で共通しているんです。
肉を大量に食べているぶん、野菜も食べているかというと、必ずしもそうではないですね。やはり肉も与えてくれて、野菜も与えてくれるという土地はそうそうないということです。

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